『トランスフォーマー ゴースト・オブ・イエスタデイ』 アラン・ディーン・フォスター

TF小説の感想です。実はもうかなり前に読み終わってたのですが、サイトの「名言集」作ったり、いつものズボラ癖のせいで、映画公開前ギリギリになってしまいました…(苦笑)。一応「ネタバレ全開」なので、読んでない人はご注意を!


<ストーリー>1969年、アポロ11号打ち上げの裏で、密かにもう一つの宇宙船が飛び立っていた。19世紀末北極で発見された巨大な機械生命体、通称<アイスマン>の調査研究をもとに建造されたゴースト1号である。だがそのテスト中、新型エンジンが暴走し、気がつくと彼らはどことも知れぬ銀河のただなかに…。そこでは敵対する二つのトランスフォーマー・サイバトロンとデストロンの壮絶なる戦いが繰り広げられていた!TF達の求めるものは、彼らの生命の源<オールスパーク>。終わりのない争いの続く彼らの故郷セイバートロン星から、オールスパークは遥か昔、宇宙に飛び出していってしまったのだ。一方地球では、アイスマン輸送計画が進められていた。動かすことのできない超自然的な物体<キューブ>と同じ施設で、科学者達はアイスマンを調べたがったためである。しかし、その輸送途中事故が発生。アイスマン=破壊大帝メガトロンが目覚めてしまう!果たして、ゴースト1号のクルー達と地球人類の運命は?!


読了した感想を一言で言えば、「面白かった!」です。TF達もアニメ同様、個性的で魅力的だし、ストーリーも、アポロ計画の陰で密かに行われていたもう一つの宇宙探査計画って感じで面白いし。TFは小説でも面白いことが証明されたって感じですね(笑)。やっぱ映画観た後、ノベライズの方も読もうかな。


今回のマイスターは、G1の彼とは違い、一人称は「おれ」で、副官でもないようです。今回の副官はアイアンハイドかラチェットってとこでしょうか?「おれこそは慎重さの王さまですよ」には笑いましたが、この台詞のようにマイスターは、口の減らない若きサイバトロンで、衝動性と才能をあわせ持っています。比較的小型で敏捷なため、戦闘ではそのすばしっこさを活かしていました。「いつの日か、彼ならりっぱな指揮官になれるだろう」とコンボイは考えていたようです。何となく、『BW』のチーターの少年を思い起こしました。他のキャラは、割合G1の同名に似てるような。


そういえば、マイスターって海外では「副官」ではないらしいんですよね。でも、アニメの『1st』第1話でサイバトロン達に号令をかけ、「サイバトロン戦士、ではエンジン・スタート!」と指令し、「準備完了です」とコンボイに言うマイスターはめちゃくちゃ副官っぽいですが(笑)。彼は元々副官ではないと聞いていたので、最初観た時「ちゃんと副官してるじゃん」と思いました。


今回の映画は、G1のリメイク的要素が強いですが、基本的にはあくまでG1とかのパラレルワールドなんですよね。なので、同名キャラがG1と同じ性格じゃなくても問題なし。もちろん、同じような性格だったら嬉しいですが。G1のリメイク的な意味では、マイ伝とかも同じだったんですよね。あの作品は、コンボイなどG1でもお馴染みのキャラが出てましたが、スタスクとか、G1とは全く異なる性格でしたし(笑)。この実写映画の作品世界も、無限に存在する時間線の一つってことなんでしょうね。


本作ではメガトロンが不在なため、スタースクリームデストロンの(一応の)リーダーとして大活躍しています。とはいえ、仲間達はスタスクを指導者として完全に認めているわけではなく、彼らは未だに行方不明のメガトロンを探し出そうと必死になっています。そんなわけで、スタスクの苦労は尽きないわけです(笑)。キャラ的には、かなりG1の彼に近いかも。「教訓」は『BW』のスタスクを彷彿とさせてニヤリとしてしまいました。電車の中で読んでたので結構大変だったです(苦笑)


デストロンの指導者を「首領」と表記しているのも珍しいですね。アニメなどでは「オレがデストロンのニューリーダーだ!」という台詞でもご存知の通り、「リーダー」という言葉が使われてましたが。なお、この小説でも「破壊大帝」は、デストロンの指導者の「称号」として使用されています。


アニメでは、ネメシスはデストロンの歴史上「最強の戦艦」となってましたが、今回のネメシスは元々戦艦ではなく輸送船となってます。なので、『BW』などとは異なり、それほど脅威的な存在としては描かれてません。単なるデストロンの宇宙船って感じで。あと、アニメでは彼らの戦いは「数百万年〜数千万年」でしたが、今回のはたった「数千年」と非常に短いです。もちろん人間にとっては長いですが(笑)


TFももちろんですが、人間達もかなり良い感じに活躍しています。ゴースト1号のクルー達とスタスクのファースト・コンタクトとか面白いし、彼らとコンボイの異種族間交流とか結構感動できる部分もあります。メガトロンを再び封印するため、キニア大佐がとった行動とか、騙された借りを返すため、スタスクと対決するゴースト1号のクルー達とか、壮絶です!


前回、トランスフォームは変身じゃなくて変形の方がしっくりくるよ、と書きましたが、この小説では、「変形(トランスフォーム)」となってました。個人的に嬉しかったり(笑)。TFは当初、「変身戦隊」というダサダサなタイトルになりそうだったらしいですが、もしそうなってたら多分私はファンになってなかったと思う(苦笑)。日本語版『BW』の、TFが変形する際の「変身!」にも未だに抵抗があるので(「マキシマイズ」と「テラライズ」の方が百倍カッコイイと思うけどなぁ)。


「彼らは彗星状の祖型に変形し」という文章が出てくるのですが、「祖型」ってプロトフォームのこと…?まぁ、プロトフォームは本来「TF(マキシマルとプレダコン)の誕生前の姿」なので、プロトフォームと言われても個人的に納得しづらかったですが。「彗星状の形態」じゃだめだったのでしょうか?


個人的に惜しいと思ったのが、340ページのスタスクの「デストロン軍、攻撃せよ!」という台詞。「デストロン軍団、アターック!」だったらニヤリって感じだったんですけどね(苦笑)。あと、「視覚感知器」に「オプティック・センサー」とルビがふってあったらなぁ…。オプティック・センサーとはいわゆる「眼」のことで、『ザ・ムービー』で武勇伝を語るチャーが「その星はなんとも土埃がひどくての、オプティック・センサーのワイパーを動かしっぱなしじゃったよ」と言ってます。海外版『BW』などでも使われているらしく、海外では「G1時代からの伝統的な表現」らしいです。


巻末の「<トランスフォーマー>世界完全解読」も興味深かったです。まぁ、情報としてはファンにはお馴染みのことがほとんどなんですが、G1とG2をひっくるめて「クラシック」と呼ぶ、というのは初めて聞きました(クラシックというトイのシリーズがあるのは知ってましたが…。同じ名前なのはちょっと紛らわしいのでは?・汗)。


『BW』の日本語版を「ものすごく変わってる」と書いてるのには、個人的に苦笑です。やっぱそういう感想なんだと思って。『BW‖』と『BWN』に関して、「『BW』のオープニングと同じ時代の出来事」と書かれてますが、これはちょっと間違いではないでしょうか。『BW‖』の物語は現代から「数万年後(劇中の台詞から)」の話で、舞台は「遠未来の地球=惑星ガイア」です。『BW』は「約300年後」の話なので、同じ時代ではないと思います。『BWN』では、『BW‖』の時代をガルバトロンユニクロン)が「遥か昔」って言ってたので、『BWN』は、『BW‖』からさらに数千年〜数万年後の物語と考えられます(最近観たので・笑)。


あと、ヘッドマスターの"マキシマス"ではなく、フォートレスでは?バイナルテックやキスぷれの時間線上での位置づけに関して、「正直なんだかもうよくわからない」というのには同感です(苦笑)。メガトロンを名乗ってるキャラは、マスターメガトロンが忘れられてる?と思いました(海外ではマイ伝のと同一人物らしいけど、日本では違うので)。映画は、海外ではかなりヒットしてるらしいので、次回作はすでに内定だとか。私もユニクロンは登場するんだろうなぁと思ってました。実写映画であの惑星サイズのTFがどうなるか…。文字通り想像を絶するものになりそう(笑)


最後に、この小説で個人的に気になった点をまとめてみると、前回も書いた通り、キャラの名前の所に「英語名は〜」と付いている点、"欺瞞の民"に「デセプティコン」、"最上者"に「プライム」とルビがふられている点。あと、アークとネメシスに「号」が付けられているこの3点ですね。キャラの名前やルビに関しては、巻末に解説として載せるとかすれば良かったのではないでしょうか?あと、"欺瞞の民"のルビや<トランスフォーマー>世界完全解読の所などで、ディセプティコンが「デセプティコン」になってるのはやっぱ誤植なのかな(最初の「ィ」が抜けてます)。こういったことはTFに限ったことじゃないですが…(汗)


それにしても、映画、もう明日公開なんですよね。私はもしかしたら初日に観ることができるかもしれないです。実写映画が作られるという噂はマイ伝がやってる頃(それ以前かも)から聞いてたので、個人的には待ちに待ったって感じですね…。かなり期待できそうなので、もうファンとしては楽しむだけです!(笑)



トランスフォーマー ゴースト・オブ・イエスタデイ

アラン・ディーン・フォスター

金子司訳

早川書房 2007/07

実写映画の小説などについて

映画の前日譚である小説『ゴースト・オブ・イエスタデイ』を買いました。キャラの性格など、結構イメージと合ってる気がします。アイアンハイドも『ザ・ムービー』でディセプティコン達のことを「あのクソッタレども」とか言ってた人っぽいし(笑)、スタースクリームも、人間達を騙す時の演技とかいい感じです。


ただ、名前の所にカッコ書きで「英語名は〜」と付いてるのはちょっと鬱陶しく感じました。同名キャラにまで、「英語名も〜」って付いてるし。まぁ、最初だけなんですけどね…。どうせなら、巻末に名前の対応表のような物を付けるなどしてほしかったです。アークとネメシスに「号」が付いてるのにも凄い違和感が…(汗)


スコルポノックって、小型のTFだったんですね。しかも喋らないっぽい?この小説では『ザ・ヘッドマスターズ』同様、名前が「メガザラック」になってますが、海外では『ビーストウォーズ』のプレダコン含め、スコルポノックなんですよね。"scorponok"という名前は、サソリ(scorpion) のもじりなので。


実はまだ読んでる途中なのですが、小説自体は結構面白いし、よくできてると思います。ちゃんと「SF文庫」から出てるのも嬉しいです。


実写映画が海外版の名称になってるのは、「喋ってる声と統一するため」らしいですね。確かに、英語音声では「オートボット」と言ってるのに、字幕では「サイバトロン」だと、TF初めてという人は混乱するかもと私も思ってました。吹き替えはその点では問題ないと思いますが、やはり字幕版と名前が違うことによる混乱を避ける、という意図があったのかもしれませんね。


あと、「トランスフォーム<変身>」てなってるのも未だにしっくりこないんですけど…。変身だと、何か有機的なイメージで、「変形」の方が無機質で金属質な機械生命体のイメージに合っているように思います。「トランスフォーマー=変形ロボットの代名詞」って感じなのに、「変形」という言葉を使わなかったのは非常に疑問です。むしろ「変形」をアピールすべきだと思うんですけど(それに、変身という表現はなんかダサいし…)。

アルティメット・ガイド

えーと、「アルティメット・ガイド」を買ったのでその感想です。それにしても、名前紛らわしすぎです。前に出た「アルティメイト・ガイド」と似てて(苦笑)。内容は、映画とトイの紹介や、今までのTFシリーズについての簡単な紹介ですね。トイの開発者インタビューなどは、ファンにとっては興味深いです。全然"究極"ではないですが、TFを初めて知る人には色々載ってて、どっちかと言うと"入門書"ですね。


トイの開発者インタビューの所で、バリケードが初期デザインではデストロンのマークみたいな顔で、名前はブロウルだったと書いてあるのですが、自分的には変えられて良かったです。開発者の蓮井さんは、「プロール」がサイバトロン・マーク顔で、名前に濁点が付いた「ブロウル」がデストロンの同じくポリスカーになるのは洒落が効いてて、顔がデストロン・マーク顔だから、胸にフレンジーが入っているギミックを付けたそうです。でも、顔がサウンドウェーブみたいで、名前がブロウル、変形モードがポリスカーだと、なんかめちゃくちゃな感じで、自分的にはちょっとって気がします…。


また、ブロウルは最初名前が「デバステーター(デバスター)」だったそうです(何で!?)。G1と同じく、ブロウルはちゃんと戦車型TFになって個人的にホッとしてます(苦笑)。ちなみに、ブロウルはG1ではブルーティカスに合体するコンバッティコン部隊のメンバーだったわけですが、映画では「ユナイト!(合体)」するTFは登場しないのでしょうか?


ちょっと気になったのは、シリーズの概略図の所で『TR』→『BW』となっていない点。あと、日本では明らかに繋がりのなかった『SL』と『GF』が線で繋がれている点が。

「中黒」について

中黒とは、外来熟語の単語の区切りなどに使う「・」のことです。英語などの「語と語の間のスペース」の代わりとして付けられるようです。SF小説とか読んでると、中黒付きの用語が結構出てきます。


当サイトのデータベースでは、基本的に作品の中(サブタイトルやテロップなど)で中黒が使われている場合は、中黒を付けて表記しています。また、その他については、『2010』のDVDに付属したブックレットの用語集や、『ビーストウォーズ ユニバース』など、各書籍類を参考にして中黒を使用しています。


「サイバトロン」のように、これで一つの用語となっているものに、さらに単語がくっついてできた用語には、中黒を使っています。例えば、「サイバトロン・マーク」や「サイバトロン・シティ」、「サイバトロン・シャトル」や「サイバトロン・リーダー」など。サイバトロンの他には、「エネルゴン」で、エネルゴン・キューブ、エネルゴン・クリスタル、エネルゴン・チップなどなど…。


「サイバトロン・シティ」には中黒付けてるのに、同じ「〜シティ」のスチールシティやクリスタルシティ、ハイブシティには中黒が使用されていないのは上記のような理由からです。スチールシティは、サブタイトルでも中黒付けられてないですしね。「ビーストウォーズ」は中黒無しで、『Z』の「トランスフォーマー・ウォーズ」という用語には中黒が付いてるのも同じ理由で、「セイバートロン・フォーム」に中黒が付けてあるのも同様の理由からです。


上のルールから言えば、ロボットモードやビークルモード、ビーストモードなどには中黒無しでいいと思いますが、「セイバートロン・モード」(『GF』のプライマスの惑星形態)には、中黒を付けた方がいいと個人的には思います(笑)


ベクター・シグマ」は、サブタイトルでは中黒無しになっちゃってますが、個人的に付けた方が締まって見えるというか、カッコイイので、付けてます(笑)。こっちの方が中黒無しより「重厚」に見えません?ちなみに、『2010』のDVDブックレットや、『アルティメイト・ガイド』などでは、「ベクター・シグマ」と中黒付きで表記されてます。


「スペース・ブリッジ」や「トリプル・チェンジャー」などは、サブタイトルで中黒が使用されてますが、結構中黒無しで表記されることが多いような気がしますね。私的には、アニメ同様、中黒有りの方が良いと思うのですが…。


なお、一部中黒無しにしているものもあります。「ロディマスコンボイ」は、テロップやEDクレジットでは「ロディマス・コンボイ」と中黒付きで表記されてますが、最近のギャラクシーコンボイなど、「〜コンボイ」の名前には中黒が使用されていないため、それらに合わせて当サイトでは付けていません。『G1キャラクター大全集』など、書籍などでも中黒が付けられてるものはほとんどないですしね。「オメガスプリーム」も、サブタイトルでは中黒付きになってますが、ロディマスコンボイとほぼ同様の理由で付けてません。『スーパーリンク』の同名キャラも、中黒使われてないですし。


あと、たまに「トランス・フォーマー」や「スター・スクリーム」など、中黒が間違って付けられているものを見かけることがあります。上の原語は"Transformers"と"Starscream"なので、(スペースは無いため)これらの語には中黒を付ける必要はないんですけどね〜(苦笑)


中黒とはちょっと違いますが、「表記」関連として。「テレトラン1」や「ムーンベース1」、「エリータ・ワン」や「ゴールデン・ワン」など、「1」と「ワン」の使い分けですが、これは原語が"1"か"one"かの違いで区別しています。微妙な違いですけど(苦笑)


最後に中黒とは関係ない話を。ちょっと驚きましたが、早川書房から実写映画『トランスフォーマー』の文庫本が出るらしいです。ちゃんとしたSF作品になってるのか気になりますが、まさか「TF」がSF小説(だよね?)で読める日が来るとは思ってなかったので結構嬉しいかも…(笑)。著者のアラン・ディーン・フォスターは、『スター・ウォーズ』など、ノベライズ作品が多い人らしいですね。

「オールスパーク」について

オールスパークに関しての個人的なまとめです。とにかく壮大な世界観ですが、かなり魅力を感じる設定でもあります。このあたりは、TFシリーズの"スケールの大きさ"を素直に楽しめばいいと思います。


概要
オールスパークとは、TFの"死後の世界(あの世)"や"天国"といったものに喩えられる存在です。その本質は、TFの魂(これも喩え)であるスパークが一つになったもので、そこから"魂の集合体(総体)"などとも表現されます。それが存在するのは銀河系宇宙の精神的階層で、その外観は、名前の通りスパークが寄り集まったかのような姿です。『ビーストマシーンズ』では、伝説のコンピューター・「オラクル」にアクセスしたオプティマスプライマルの中枢意識の前に度々現れています。


流転するスパーク
TFの魂・スパークは、輪廻転生のように、オールスパークと物質世界の間を巡っています。オールスパークから分離した1個のスパークは、「ベクターシグマ」や「マトリクス」、「ピット」を通り、物質世界に出現。そして、ロボットのボディに宿ることで、TFとして誕生します(下の図を参照)。

ベクターシグマからは、オートボットディセプティコンのスパークが、エネルギーに乗せられ送り出されます。また、マトリクスからはマキシマルの、ピットからはプレダコンのスパークが、プロトフォームに組み込まれ搬出されます。なお、ここで言う「マトリクス」はマキシマル・プロトフォームの創造施設であり、オートボットの「指揮権のマトリクス」とは別物です。


すべてがひとつになるところ
TFが死ぬと、そのスパークは宇宙の精神的階層にあるオールスパークへと帰還し、再びそれと一つになります(オールスパークと融合すると、個としての存在は維持されないものと思われますが、人格や意識の再構築は可能かもしれません)。その時、"TFとして過ごした経験や知識"などは、オールスパーク全体に影響(変化)を与え、そして"新たに生まれるスパーク"にも影響を及ぼします。このように、この"巡り巡る魂のループ"は、決して"固定したもの"ではなく、ずっと"動的なもの"であり、少しずつ変化(進化?)しているのです。『ビーストマシーンズ』最終話によると、オールスパークをより良くするには、"TF個人個人が重要"と言われています。

『BW』では、エアレイザー誕生の際、チートアが見たビジョンの中でライノックスが「スパークの目覚める所、大いなる喜びあり。一つが消える時、宇宙は悲しみにくれる」と語っています。この場面は、TFの"深層心理下の繋がり"を意味し、オールスパークの存在を示唆しています。

もう一つ、『BW』でエイリアンの惑星破壊装置によって破壊されたオプティマスを救うため、自らの中枢意識をトランスワープ・スペースに投入したライノックスが、そこから帰還した際、「どこ行ってたんだ?」と問うラットラップに対し、彼は「全てが一つになるところ…」と答えています。これも、"全てのスパークが一つになったもの=オールスパーク"のことを指します。


スパークの性質
オートボットディセプティコン、マキシマルとプレダコンのスパークは、オールスパークから来るという点では共通しています。しかし、それらのスパークは、それぞれ微妙に異なった性質を持っているようです。オールスパークは善悪両方の性質を持っており、大まかに言えば、オートボットとマキシマルは善の、ディセプティコンとプレダコンは悪の性質を持ったスパークを宿しています。とはいえ、それはあくまで種族の性質であり、単純に言うことはできません。スパークの善悪は天秤のようなもので、TFの境遇や生き方によって、善にも悪にも傾きうるようです。


G1TFとプロトフォームTFの違い
スパークの出自が同じとはいえ、「G1TF」(オートボットディセプティコン)と「プロトフォームTF」(マキシマルとプレダコン)は、種族的には全く異なる存在と言えます。G1TFは、TF自身やクインテッサンの手で造られたボディですが、プロトフォームTFは、エイリアン・ヴォック(オールスパーク?)の創造するTFの原初形態・プロトフォームに、有機生命体のDNAデータが取り込まれることで誕生するため、非常に有機的・生物的です。プロトフォームTFはG1TFよりもかなり小型で、G1TFでは不可能だった有機生命体への変形が可能となっています。


精神的階層
オールスパークが存在するのは、宇宙の「精神的階層」や「アストラル界(Astral Plane)」などと呼ばれる場所です。それは恐らく、心や思考といった、"目に見えないもの"が存在する場所、と私は勝手にイメージしています(笑)。そこにあるのは、非物質的なエネルギーのような存在であり、この精神的階層とは、超空間・「トランスワープ・スペース」や「ヴォック・ネビュラ」などと同様のものと思われます。


ちなみに、プロトフォームTFのボディは「ナナイト」と呼ばれる、細胞よりも遥かに小さな微小機械群によって構成されています。これはクォンタム・サージやG1TFのスパークの融合などによって、TFのボディが変異する現象の根源でもあります(ナナイト構造の変化によって、彼らの身体は変異します)。


一方のG1TFですが、彼らのボディもまた、ナナイトによって構成されていると考えられます。彼らが変形形態を変更する際などに、ボディの構造などが変化するのは、彼らの身体(装甲や回路、様々な部品類)が微小機械(いわゆるナノマシン)によって構成されているからと思われます。TFやクインテッサ星人の技術レベルなら、この程度のナノテクノロジーを有していても全然不思議ではありませんし(ヴォックのプロトフォームTFのボディに比べると若干精度は低いかもしれませんが)。

「G1」〜『BM』に関する補足

パーソナリティ・コンポーネントとは
「パーソナリティ・コンポーネント」についてですが、これはTFの魂であるスパークとは"異なるもの"と思われます。パーソナリティ・コンポーネントとは、恐らくTFのスパークや人格情報、記憶等を"停滞固定・保存"したもので、この技術は刑務所に犯罪者を投獄する際や、宇宙航行の際にもスペースのセーブなどに利用されていたと考えられます。また、この発光する小型のキューブには"既存の機械をTFのボディに改造するようプログラムされた"ナノマシンも封入されていたと思われます。スタースクリームが第二次大戦時の兵器の残骸にパーソナリティ・コンポーネントをセットしたことで、"兵器がTFのボディに変化した"のは。なお、役目を終えたナノマシンは、TFのボディの一部になると思われます。

このパーソナル・コンポーネント技術は、TF自身が編み出したものと思われます。これは、ベクター・シグマから「抽出した直後の」スパークを凍結・保存することもできたと考えられ、ダイノボットやテックボットの誕生にもこれが使用されたのでしょう。

また、サンドストームは「祖先達が」第四次大戦の時セイバートロン星を旅立ち、惑星パラドロンに辿り着いたと言っているため、彼はパラドロンで生まれたTFと考えられます。しかし、ロボットに生命を宿すことができるベクター・シグマはセイバートロン星にしか存在しません。恐らく、サンドストームの祖先達は宇宙船に大量のパーソナル・コンポーネントを積んでいたのでしょう。で、安住の地を手に入れた彼らは、そのコンポーネントで、「子孫(サンドストーム)達」を生み出したのだと思われます。


プロトフォームの定義
今回「プロトフォーム」について紹介しましたが、今度公開される実写映画でも、プロトフォームと呼ばれる形態が登場するらしいですね。詳しいことはまだ分かりませんが、映画ではサイバトロン星での姿をプロトフォーム("原初形態"の意)と言っているような気が…。オリジナルの海外版でも"プロトフォーム"なのか気になりますが、サイバトロン星での姿なら、「サイバトロン・フォーム」の方が適切だと思います。サイバトロン・モードと言う人もいますが、変形形態の「〜モード」と区別するため、「〜フォーム」の方が良いような気がします(サイバトロン・モードだと、『ギャラクシーフォース』に登場したプライマスの惑星形態みたいだし)。

トランスメタル2は何人?
『BW』のアニメに登場した「トランスメタル2」は、ダイノボットとチートア、ブラックアラクニアの3人だけと思われます。ドラゴン・メガトロンとタイガーホークは、トイではトランスメタル2のカテゴリーで発売されていますが、少なくともアニメでは、トランスメタル2ではないようです。メガトロンはオプティマス同様、"初代メガトロンのスパークと自らのスパークを融合"させたことによって変異したもので、タイガーホークは、ヴォックによって"タイガトロンとエアレイザーのボディを物質的に融合"させたものとなっています。どちらもトランスメタル2の誕生に必要な「トランスメタル・ドライバー」は関与していません(タイガーホークに関しては、ヴォックの手によるものなので、トランスメタル2同様"エイリアン度"高いですが)。


トランスフォーマー」のタイトルロゴって、よく見ると(ロボットらしく?)オイルが波打ってるんですね。で調べてみたら、日本の『1st』〜『Z』まではこのオイルがプカプカしてるロゴなんですが、最近のマイ伝なんかでは、単に青、白、赤のグラデーションって感じになってました(よく見ると波打ってるような気もしますが、オイルっぽくないです)。まぁ、マイ伝とかのもこれはこれで良いんですけどね(笑)。あと、実写映画の金属質のタイトルロゴもカッコ良くて好きだったりします。

銀河の守護者
2001年宇宙の旅』は、スタンリー・キューブリック監督のSF映画として有名ですが、"除草"というのは、アーサー・C・クラークによる小説版の方に出てきます。「機械生命」といった言葉も出てくるので、何となくTFに通ずるものがあるような…(考えすぎ)。面白いので、興味のある方は是非読んでみてください。


暦について
日本のG1シリーズに登場する「地球暦」とは、「西暦」と同義と思われます(海外では「地球歴」という用語は使われていません)。これは、TFの物語が宇宙の様々な場所で展開するため、"視聴者に分かりやすいよう"配慮し、地球の暦を"基準"として使用しているものと考えられます。ところで、サイバトロン星には「暦」はあるのでしょうかね?一応西暦2300年頃のサイバトロン星は、1年が約400日で、1日は約20時間に相当するらしいですけど。でも、かなりの長い期間一つの恒星系に留まらない放浪惑星だったので、1年や1日といった概念も曖昧だったかもしれませんが…?


マキシマルの武器
オプティマス達は宇宙探査隊であり、軍人ではないと書きましたが(パックス・セイバートロニアを達成した平和なセイバートロン星では、ほとんどのTFが「軍に属していない」ようです)、そんな彼らが持っている「武器」について考えてみたいと思います。彼らが装備している武器ですが、これは敵を攻撃するための物というより、「自らの身を守るための物」という意味合いが強いと思います。つまり、どんな危険があるか分からない未知の惑星などで、自らを守るため、武装していたと考えられます。


「G2トランスフォーマー」について
G2TFについての補足です。G2TFとは、デストロン達の発見した自己分裂による「バイオモーフィック増殖」の原理によって、誕生・増殖したTF勢力です(つまり、本質的にはデストロンと思われます)。彼らは自分達こそが「次世代の」TFだと信じており、ここから「G2(第2世代)TF」という名前がきています(彼ら自身がG2TFと名乗っており、ある意味「思い込み」なのでしょうか?)。このG2TF勢力のリーダーであるジアクサスが、いかにも「暴君」って感じでキャラ的に素晴らしく、個人的に大好きです(最後の台詞とか・笑)。しかもめちゃくちゃ強いし。スウォームがこなかったらコンボイ確実に負けてたと思うのですが…(汗)


リーダーと総司令官
「種族のリーダー(指導者)」と「総司令官」は必ずしもイコールではないと思います。オプティマスプライムの場合は、オートボット種族のリーダーでもあり、軍の総司令官でもあったわけですが、それ以前のオートボット・リーダーの時代は軍組織がなかったと考えられるので、彼らは総司令官の肩書きを持っていなかったと思われます。またパックス・サイバトロニアの時代も、平和なため、リーダーが総司令官であるかは少々疑問のある所です(やっぱこの時代も、オートボット種族のリーダーはオプティマスなのかな?)。ちなみに、マトリクスを持つことができるのは、「オートボット種族のリーダー」だからで、「総司令官」だからではありません。


最高評議会のメンバー
サイバトロン星の最高評議会の主要メンバーとして、オプティマスプライムは活躍してるらしいですが、他のメンバーは誰がいるんでしょうね?恐らく、ウルトラマグナスあたりも主要構成員だと思うのですが(有能なので)。あと、サウンドウェーブもメンバーの一人だったらいいなぁなんて思ってます。サイバトロンとデストロン、マキシマルとプレダコン入り混じって、かつては敵同士だった者達が、サイバトロン社会のため議論を行う。そんな様子をイメージすると、物語の世界観が広がる感じがします。『BW』のストーリーエディター、ラリー・ディティリオ氏の「我々は、私達のヒーローや敵役達を、"終わりのない戦争"という過去の設定から少し成長させたかったのです」という言葉には、個人的にかなり感動しました。


ビーストマシーンズの意味
個人的に「ビーストウォーズ リターンズ」というタイトルはあまり好きではありません。理由は、"作品の内容と合っていないから"です(劇中では、ビーストウォーズという戦争は"過去の出来事"として描かれています。『BM』の戦いに名前を付けるなら「テクノオーガニック戦争」でしょうか)。また、オリジナルのタイトルが本編と非常にマッチしているのも理由の一つです。「ビーストマシーンズ(獣の性質を持った機械達)」とは、テクノオーガニックTFであるマキシマル達のことですが、純粋機械の身体を望みながら、怒りなどの感情に支配されているメガトロンも、哀れな「ビーストマシーン」と言えます。その他、"ビーストTFとマシーンTFの戦い"という意味や、"有機対無機"という作品のテーマにも非常に密接に繋がっています。タイトルは安易に変えないでほしいです…

テクノオーガニックについて
最後に、『ビーストマシーンズ』関連ですが、ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの言葉にちょっと興味深いものがあったので紹介します。

「思うに──どうやら、わたしの味方はあまりいないようだが──生物発生の過程で自然が創りだしたテクノロジーをマスターすれば、メカニックな革命(機械の時代)はもとより、知性的な革命(コンピュータの時代)をもしのぐグローバルな進化を導き出すことができ、生物圏と安定した共存ができる「テクノ生物圏」が生まれるだろう」(SFマガジン2004年1月号に掲載された「スタニスワフ・レム語録」より引用)

「テクノ生物圏」とは、「テクノオーガニック」のようなものでしょうか…。『ビーストマシーンズ』の"有機と無機の究極的融合(共存)"というアイデアは、ここから…なワケないか(苦笑)。なお、レムは『砂漠の惑星』といった作品でサイバネティックスな機械知性を登場させており、TFファンにもお勧めです。


マルチバース
ちなみに、最近の宇宙論や物理学の世界では、「マルチバース(多宇宙)」という概念があるらしいです(SFじゃなく、現実に真面目に考えられているようです。ホントすげぇな!・笑)。TFの物語はまさにこれですね。このあたりの参考として『パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ』という本が出てます。私は図書館で借りて少し読んだだけですが、結構面白く読めました。


あと、個人的に「トランスフォーマー」には、「変形能力を持つ者」だけでなく、「変化するもの」という意味もあるのでは、と最近思ってます。例えば、『BM』でテクノオーガニック・プラネットへとリフォーマットしたセイバートロン星や、『マイクロン伝説』で英雄となったスタースクリームとか。それが良い方にであれ、悪い方にであれ、TFの物語は「変化」を描いているのではと思いました。

クインテッサンについて

ここではクインテッサン種族について色々考察(妄想?)しています。


クインテッサンとサイバトロン星
サイバトロン星はクインテッサンによって造られた、と考えている人もいるようですが、実際は「G1シリーズ」の時点では、"機械惑星サイバトロン"のオリジンははっきりとは明らかになっていません。

『TF』第69話では、マトリクスの中を旅するロディマスプライムに対し、大昔のオートボット・リーダーが「遥か遥か昔、サイバトロン星はクインテッサンのためにロボットを製造する一大工場だったのだ」と語っていますが、「クインテッサンがサイバトロン星を造った」とは言っていません。劇中のセリフからは、遥か昔サイバトロン星はロボットを製造する一大工場として"機能していた"、と解釈できると思います。

『ビーストマシーンズ』を観る限りだと、サイバトロン星は"有機惑星が機械惑星にリフォーマットされたもの"と考えられます。


クインテッサンの植民地化
クインテッサンは、かつてサイバトロン星を植民地化したものと思われます。その時の様子について、考えてみたいと思いますが、以下は単なる個人の想像なので、参考程度にお読みください(苦笑)

千数百万年前(はっきりとした年代は不明※)、クインテッサン達は惑星全体が金属でできた奇妙な機械惑星を発見したと思われます。彼らはその星に降り立ち、調査を始めました。そしてついに、惑星の地下深くで、"黄金に輝く球体"を発見したに違いありません。それを調査・解析した彼らは、その小さな球体こそが、惑星の中枢コンピューターであり、さらには"物質に生命を宿す力"があることを突き止めました。クインテッサン達は、この黄金の球体・「ベクターシグマ」そのものを工場の製造ラインに組み込むことで、自らのために、サイバトロン星にロボットを大量生産したのです…。

※A-3達奴隷ロボットの反乱によって、クインテッサンがサイバトロン星から追放されたのが1100万年前頃のため、少なくとも1100万年以上前であることは分かっています。

恐らくクインテッサンは、有機惑星を機械惑星にリフォーマットした謎の存在(プライマス?)に、"サイバトロン星にロボットを大量生産するため"、"利用された"のだと思われます。クインテッサンがサイバトロン星を欲しがる理由は、彼らにとっても高次の力である"ベクターシグマ"等にあるのかもしれません。もしかしたら、彼らはサイバトロン星の真の創造主について、何らかの答えを掴みかけていたのかもしれません。


クインテッサンとトランスフォーマー
たまに間違われますが、クインテッサンが生み出したのは"トランスフォーマー"ではなく、TFの"祖先達"です。TF種族が誕生したのは、彼らの祖先達がクインテッサンをサイバトロン星から追い出した後で、軍事用であるディセプティコンに対抗するため、オートボット達が変形能力を編み出し、"トランスフォーマー化"したのが始まりです。